2012年2月24日(金)
『実録・プロレス道 第57話』
藤波辰巳もタイガーマスク同様、反則勝ちによるタイトル防衛に終わったが、なかなか内容の濃い試合に会場のファンは熱狂した。
次はどうなる、次こそは完全決着かと思わせる熱い闘いだった。
「タイガーは問題ないよね、藤波はやっとライバルを見つけたよ。猪木や坂口が相手じゃ、ああ上手くはいかないよ」
ヘビー級に転向してからライバル不在、力不足と批判され続けた藤波に、お互いを光らす最高のライバルが現れたのだ。
「攻め一方の長州は不器用だけど、藤波があそこまで受けるんだから、いい試合になるはずだよ」
これでもかと言わんばかりに攻め続ける長州に対して、全て受けきってみせる藤波のファイトスタイルが噛み合ってたのだろう。
でなければ、不透明決着に終わってもファンは納得しないはずだ。
「ただ反則裁定でもいいんだけど、あのフェンスアウトはやめて欲しいね。フェンスの外に出したら負けっていうのも、よく分からんよ」
観客の安全を守るための場外フェンスなのだが、最近では、勝敗を決めるための道具になってしまっているのは事実だ。
まだ、場外で殴り合い続けての両者リングアウトなら話は分かるのだが。
「まあ、いい試合だったけど、二人とも力を残したまま終わったのが残念だったよ。まだまだ、やれたはずだよ、藤波も長州も」
いくら試合中白熱した攻防が続いたとしても、お互いダメージが少ないまま終わってしまったのでは、例えピンフォールで決着がついたとしても物足りない。
「せっかくいい内容で進んでたんだから、長州も反則負けなら場外で徹底的に痛めつけなきゃ。それができないなら、リング上で決めるべきだよ」
確かに、試合内容の割には結果があっさりしすぎていた。
もし、場外リングアウトであるならば、カウント20を数える間にリングに戻るか戻れないのか分からない楽しみ方もある。
「リングに戻るギリギリまで相手を引き付けたり、また場外に引きずり込まれたり、20カウント内の駆け引きというかエプロン際での攻防も作戦だからね」
それに比べると、フェンスアウトは出した段階で即試合終了なのだから、駆け引きもへったくれもない。
ただでさえファンは完全決着のピンフォールを望んでいるのだから、それが出来ないのであれば、最後の最後まで興奮していたいだろう。
「そもそもリングアウトとか反則で終わらせるやり方って、勝ち目がない時に使う手で、それなりに考えないと出来ない戦法なんだよ。フェンスアウトは楽してるように見えるよ」
完全決着でなければ、時間切れや両者ノックダウンによる引き分けもあるが、フルタイム闘い続けることや、お互い立てなくなるまで力を出し切ることは、並みレスラーでは到底出来まい。
フェンスアウトは、闘いから逃げているようにも見える。
極端に言ってしまえば、わざとフェンスの外に出れば勝てるのだから、フェンスアウトのルール自体の見直しが必要に思える。
「フェンスアウトって新日本だけでしょ?だったら、やめるのが一番だよ、ファンのためにもレスラーのためにも。本当の名勝負は内容も結果も納得できるものでなきゃね」
プロレスファンである以上、常に名勝負を求めることは当然である。
そして、はぐれ国際軍団を相手に1対3という闘いに挑んだアントニオ猪木は、この絶対不利な状態で、名勝負を生み出すことが出来るのだろうか。
つづく
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